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先入観:ネタばれあり!
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むらさきのスカートの女(日野)は実はいたって普通。公園で子供と遊ぶし、就職に多少の時間はかかるが普通に仕事をしている。むしろ体力もあり覚えが良くてきぱき働けるという意味で、普通以上。同僚に不評を買う不倫が生じるが、それとてありがちな話であって、常人のレベルを逸脱するものではない(勿論リアルでは最悪だが、人の命が簡単に踏みにじられるイヤミスというジャンルで考えればかなりおとなしい方だと思う)。さらに男目線で言えば、上司は確実に彼女の女としての魅力を感じているわけだからルックスだって魅力的なのでは? しかし、作者の思惑どおり作品の冒頭から読者的にはこのむらさきのスカートの女が少し変わっている人だという印象を自動的に持ってしまう。 そもそもむらさきって....という色の効果?による先入観を芽生えさせ、その印象が徐々にスカレートしていく。そしてその決定的な要因は主人公?の黄色いカーディガンの女(権藤)にある。
彼女の日々綴るリポートからは、日野がその異常性を大きくさらけ出すのではないかと期待させる雰囲気を常にはらましているが、物語が進むにつれてそのあまりに詳細過ぎる日々の観察状況から、実は異常なのはストーカー行為を行っている権藤の方だと変化していく。そして最終的に常人である日野は権藤のその”異常な”行動により、すべてを失ってしまうという結末。
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と言うことで、あれ、またイヤミスだった・・・・(;^_^A
表紙とタイトル、そして予備知識ゼロで、図書館の”おススメ”を手に取るとどうもこの類が多い様な・・・でも、人は死なないし、日野さんならなんとか復活してくれそうなわずか希望は残らなくもないのでダメージは最小限?
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以下はネットで得た情報を少しまとめてみたものです
*色による先入観
むらさき おとなしい
黄色 活発
登場人物のそれぞれの性格はその色による印象とは真逆。
そして本来補色関係のこの2色は、お互いが補う関係なのでその組み合わせは色彩的にもバランスがとれているの美しいとされる。
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*アナグラムな関係
むらさきのスカート
語り手のストーカー
職場のカースト
スカートのアナグラム。
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PS 偶然にも同時に借りた本の中に ”色の力:Jean-Gabrieal Causse” あったので、色に関しての影響力を改めて知識として詰め込んだところだった。おかげでいい具合に通常以上に先入観が持てたかもしれないかなと(^^)